釣りを始めたばかりの方にとって、「最初の1匹」を釣り上げる瞬間は何物にも代えがたい感動があります。しかし、いざ釣り場に立ってみると、なかなか魚が釣れずに時間だけが過ぎていく…という経験をした方も少なくないでしょう。
実は、釣りには「初心者でも釣りやすい魚」と「経験者でないと難しい魚」がはっきり分かれています。最初のうちは釣りやすいターゲットに的を絞ることで、格段に釣果を上げることが可能です。
この記事では、初心者でも比較的簡単に釣れる魚の種類と、それぞれの具体的な釣り方を紹介します。「最初の1匹」をしっかり手にするためのコツを押さえて、釣りの楽しさを全身で味わいましょう。
初心者が釣りやすい魚の特徴
初心者でも釣りやすい魚には、いくつかの共通点があります。「群れで行動する」「警戒心が低い」「エサへの食いつきがよい」という3つの特徴を持つ魚は、初心者でも高確率で釣ることができます。
逆に、単独行動する魚や、エサの食べ方が繊細な魚、特殊な仕掛けや技術が必要な魚は、ある程度の経験を積んでから挑戦するのがよいでしょう。まずは「釣れる」体験を積み重ねて、釣りへのモチベーションを高めていくことが大切です。

アジ|サビキ釣りで狙う定番ターゲット
アジは初心者が最初に狙うべき魚の筆頭です。群れで回遊する習性があり、群れが回ってくれば一度に何匹も釣れることがあります。食べても非常においしく、刺身・塩焼き・南蛮漬け・フライなど料理のレパートリーも豊富です。
釣り方:サビキ釣りが最も簡単です。コマセ(アミエビ)をカゴに詰めて、サビキ仕掛けを足元に落とすだけ。カゴからこぼれたコマセに集まってきたアジが、サビキの針に食いつきます。
時期:春〜秋が好シーズンで、特に夏から秋にかけて(7月〜11月)は堤防に大量のアジが接岸します。冬は沖に移動するため、堤防からの釣果は落ちます。
コツ:アジは明るい時間帯よりも朝マヅメ(日の出前後)や夕マヅメ(日没前後)に活性が上がります。また、常夜灯の下はプランクトンが集まりやすく、夜のアジ釣りの好ポイントになります。
イワシ|大群で回遊する入門魚
イワシはアジと並ぶサビキ釣りの代表的なターゲットです。大きな群れで回遊するため、群れに当たれば爆釣(たくさん釣れること)も珍しくありません。初心者が「釣れる楽しさ」を最も実感しやすい魚のひとつです。
釣り方:アジと同じくサビキ釣りで狙います。イワシはアジよりも表層(水面近く)を泳ぐ傾向があるので、仕掛けを底まで沈めずに中層〜表層で待つと効果的です。
時期:地域によりますが、5月〜11月が好シーズンです。特に夏場は堤防の足元にイワシの群れが見えることもあり、目で見ながら釣ることも可能です。
コツ:イワシは口が小さくて柔らかいため、力強くアワセると口が切れてバレ(針から外れること)やすくなります。アタリがあったら、ゆっくりと竿を立てて巻き上げるのがポイントです。
サバ|引きが強くて楽しい回遊魚
サバはアジやイワシと同じく群れで回遊する魚ですが、それらよりもサイズが大きく、引き(ファイト)が強いのが特徴です。竿がグイグイ引き込まれる感覚は、釣りの醍醐味を味わえる瞬間です。
釣り方:サビキ釣りで釣れます。サバはアジよりもやや沖目を回遊する傾向があるため、少し投げてから仕掛けを沈めると効果的です。ただし、堤防の足元に回ってくることも多いので、基本はサビキの足元投入でOKです。
時期:6月〜11月が好シーズン。秋になるとサイズも上がり、食べても脂が乗っておいしくなります。
コツ:サバは鮮度が落ちるのが非常に速い魚です。釣ったらすぐに氷の入ったクーラーボックスに入れましょう。できれば首を折って血抜きをすると、持ち帰り後の食味が格段に上がります。

キス|ちょい投げで狙う夏のターゲット
キス(シロギス)は、砂底に生息する美しい銀白色の魚です。天ぷらにすると絶品で、「釣ってよし・食べてよし」の代表的な入門魚です。
釣り方:ちょい投げ釣りが基本です。天秤仕掛けにアオイソメをつけて、砂浜や堤防から30m〜50mほど投げます。着底したら、ゆっくりとリールを巻いて仕掛けをズルズルと引きずると、砂の中に潜んでいるキスがエサに飛びつきます。
時期:5月〜10月が好シーズン。特に6月〜8月の夏場は浅場に寄ってくるため、初心者でも釣りやすくなります。秋以降は深場に移動するため、遠投が必要になり難易度が上がります。
コツ:キスはアタリが非常に繊細です。「プルプル」と竿先が小さく震えたらキスのアタリの可能性が高いので、ゆっくりと竿を立てて聞きアワセ(軽く竿を持ち上げる程度のアワセ)をしましょう。
ハゼ|川の河口で簡単に釣れる初心者の味方
ハゼは河口部(川と海が混ざるエリア)に多く生息する小型魚で、初心者でも比較的簡単に釣ることができます。エサへの食いつきがよく、警戒心が低いため、テクニック不要で楽しめます。
釣り方:ちょい投げ釣りまたはウキ釣りが一般的です。エサはアオイソメやジャリメを使います。河口の浅い場所に仕掛けを投入し、底で待つだけでOKです。ウキ釣りなら、ウキが沈んだ瞬間にアワセるだけなので、非常にシンプルです。
時期:7月〜12月が好シーズン。夏は小型のハゼが数多く釣れ、秋〜冬にかけてはサイズが大きくなります。秋の「落ちハゼ」は型が良く、天ぷらに最適です。
コツ:ハゼは底にべったりと張り付いている魚なので、仕掛けが底から離れないようにすることが大切です。オモリは軽め(2号〜3号)を使い、仕掛けが流されすぎないように調整しましょう。
カサゴ|岩場に潜むおいしい根魚
カサゴ(地域によってはガシラ、アラカブとも呼ばれます)は、テトラポッドや岩の隙間に潜んでいる根魚です。目の前にエサを落とせば高確率で食いつくため、「穴釣り」と呼ばれるシンプルな方法で初心者でも狙えます。
釣り方:テトラポッドの隙間や岩の割れ目にブラクリ(針とオモリが一体になった仕掛け)を落とす「穴釣り」が最も簡単です。エサはアオイソメやオキアミ、サバの切り身などを使います。
時期:一年中釣れますが、特に冬〜春(12月〜4月)は他の魚種が減るため、カサゴが主役になる季節です。寒い時期でも釣果が期待できるのは嬉しいポイントです。
コツ:穴釣りでは、エサが底に着いたらリールを1〜2回巻いてエサを少し持ち上げ、再び落とす「誘い」の動作を繰り返すと効果的です。カサゴは動くものに反応するため、静止よりもわずかに動かした方が釣れやすくなります。
| 魚種 | 釣り方 | ベストシーズン | 難易度 |
|---|---|---|---|
| アジ | サビキ釣り | 7月〜11月 | ★☆☆ |
| イワシ | サビキ釣り | 5月〜11月 | ★☆☆ |
| サバ | サビキ釣り | 6月〜11月 | ★☆☆ |
| キス | ちょい投げ | 5月〜10月 | ★★☆ |
| ハゼ | ちょい投げ・ウキ | 7月〜12月 | ★☆☆ |
| カサゴ | 穴釣り | 通年 | ★★☆ |
最初の1匹を釣るための7つのコツ
ターゲットを決めたら、次は実際に魚を釣るための具体的なコツを押さえましょう。以下の7つのポイントを意識するだけで、初心者でも最初の1匹に出会える確率がグンと上がります。
- 時間帯を選ぶ:朝マヅメ(日の出前後1時間)が最も釣れる時間帯です。早起きは釣果への近道です
- 潮が動いている時間を狙う:満潮と干潮の間の「上げ潮」「下げ潮」の時間帯が魚の活性が高くなります
- エサは新鮮なものを使う:古くなったエサより新鮮なエサの方がずっと食いがよくなります
- タナ(深さ)を調整する:魚がいる深さに仕掛けが来ていないと釣れません。底から探って徐々に上げていくのが基本です
- 周囲の釣り人を観察する:近くで釣れている人がいたら、仕掛けやタナを参考にしましょう
- コマセを効かせる:サビキ釣りでは定期的にコマセを補充し、常に集魚効果を維持しましょう
- 粘りすぎず場所を変える:30分〜1時間アタリがなければ、場所を移動するのも有効な手段です

釣り場で注意すべき危険な魚
初心者が知っておくべき重要な知識として、毒を持つ魚や危険な魚の存在があります。釣り場で以下の魚が釣れた場合は、素手で触らず、プライヤーやフィッシュグリップで慎重に針を外して海に返しましょう。
- ゴンズイ:ナマズに似た見た目。背びれと胸びれに毒棘がある。夜に多く釣れる
- アイゴ:背びれに強い毒棘がある。刺されると激しい痛みが続く
- ハオコゼ:小さいが背びれに毒棘がある。カサゴと間違えやすいので注意
- アカエイ:尾に毒棘がある。堤防や砂浜で釣れることがある。絶対に尾を触らない
- フグ:内臓に猛毒(テトロドトキシン)がある。釣れてもリリースし、自分で調理しない
これらの魚が見分けられるか不安な方は、Web魚図鑑などの魚類図鑑サイトで事前に確認しておくと安心です。また、釣りアプリの中には釣れた魚を写真で判別してくれる機能を持つものもあります。
釣った魚のおいしい食べ方
自分で釣った魚を食べるのは、釣りの楽しみのひとつです。初心者でも簡単に調理できるレシピをいくつか紹介します。
アジの塩焼き:内臓を取り除き、塩を振ってグリルで焼くだけ。釣りたてのアジは脂が乗っていて、スーパーのものとは比較にならないおいしさです。
キスの天ぷら:開いたキスに薄く衣をつけて揚げるだけ。サクサクの衣とふわふわの身のハーモニーは格別です。
ハゼの唐揚げ:小さなハゼは頭ごと唐揚げにすると骨まで食べられます。ビールのおつまみにぴったりです。
カサゴの味噌汁:カサゴは良い出汁が出るので、味噌汁の具にすると絶品。頭ごと使うとより濃厚な出汁になります。
釣った魚を鮮度よく持ち帰るためには、クーラーボックスに氷と海水を入れた「潮氷」を作り、釣れた魚をすぐに入れることが大切です。Honda釣り倶楽部のサイトでは、魚の締め方や持ち帰り方法が詳しく解説されています。


